暖かい日が続くかと思いきや、いきなり冷え込んできたり…まさしく三寒四温ですね。
桜は昨年より2日早く、例年より3日遅れて3月25日に開花しました。
病院の近所の桜も、徐々に咲き始めているようです。
季節の変わり目には「尿石症」や「膀胱炎」が増えます。
しかし、今年は冬場から多いので、特に注意してください。
特徴的な症状
尿石症や膀胱炎の特徴的な症状は、以下のものが挙げられます。
- おしっこが出ない、または出にくそう
- トイレに長い時間こもっている
- 何回も排尿しようとする
- トイレではない場所で排尿する
- 尿が赤い
- 尿の臭いがくさい
- ペットシーツの尿がキラキラしている
- 何度も陰部を舐めている など
尿道の閉塞などにより、1日排尿出来ないと腎臓にダメージが出てきます。
2日〜3日排尿できていないと、死亡の可能性が高まります。
おしっこが出ない、または少ない場合には、腎不全の可能性もあります。
早めの受診が肝心です。
排尿できない2つの原因
ポタポタとしか排尿できていない場合、2つの原因が考えられます。
- 膀胱の中に尿があるのにポタポタしか出せない
- 出し尽くして膀胱は空っぽなのに、残尿感でとにかく少しでも出したくてポタポタ出している
①は尿道が詰まって出せない
②は膀胱の炎症がひどく、残尿感がある
このような理由が考えられます。
エコー検査や尿検査、血液検査で診断し、治療していきます。
体質や野菜が原因の場合
体質的に尿結石を作りやすい子もいます。
そういう子は、フードを療法食に変更して、再発を防止する必要があります。
また、健康に良いからと犬や猫にブロッコリーやキャベツ等の野菜を与える方もいらっしゃると思います。
しかし、野菜に含まれるマグネシウムやシュウ酸は、尿結石を作りやすくさせると言われています。
何回も膀胱炎になる、または、尿石症と診断された場合は、野菜を与えないようにしましょう。
性別で異なる?
オスは尿石症になりやすい
メスは膀胱炎になりやすい
と言われています。
あくまでも「なりやすい」です。
オスでも細菌性膀胱炎になりますし、
メスの膀胱から1cm超えの結石が出てくることもあります。
こちら写真は、実際に当院の手術で摘出した結石です。
摘出した結石は成分分析に出しますが、大量にとれた時は残りを保存しています。
こちらのトゲトゲしたバラのような結石は「シュウ酸カルシウム結石」です。
こちらの丸っこいものは「リン酸アンモニウムマグネシウム結石(ストラバイト結石)」です。
こちらのような直径2〜3mm程の石は、尿道に詰まりやすいサイズです。
今年もオス犬の尿道に詰まった結石を摘出し、膀胱内の結石も除去する手術をしました。
飼い主さまが「1週間程前からお散歩中に尿の時間が長く、少しずつ出が悪くなっている」と気づかれて、来院されました。
エコー検査では、膀胱内に石が見つかりました。
小さい石が陰茎部分の尿道にいくつか詰まっていて、完全閉塞ではないものの、尿が出にくい状態でした。
受診時には排尿はできていたものの、いつ完全に閉塞するか不安な状態でした。
カテーテルが全く通らないため、手術になりました。
尿石症は再発しやすい疾患なので、今後も注意して経過を追う必要があります。
ワンちゃんのお散歩の際には、排尿の回数や1回の時間も確認しましょう。