先日、地元の中学校から2人の中学生が職場体験に来てくれました。
午前中はノンビリと、動物病院の裏側の仕事を体験してからおしゃべりするハズでした。
しかし、前日の診察終了間際に、子宮蓄膿症の子が来院しました。
脱水していたため、夜のうちに点滴をして、翌朝から手術することになりました。
中学生の職場体験は、ほぼ「手術見学」になってしまいました。
緊急性とリスクの高い手術
開院準備と手術の準備がバタバタと行われる中、
中学生たちは洗濯物干しなど、忙しいスタッフのお手伝いをしてくれました。
中学生にとっては、おそらく初めての手術見学。
血や臓器などを見ても大丈夫か、とても心配でした。
「貧血を起こしそうだったり、無理だと思ったら、休憩していて良いからね」と伝えて、手術室の窓から見学してもらうことにしました。
子宮蓄膿症は、緊急性とリスクの高い手術です。
手術に入ってしまうと、
「子宮破裂はないか、腹膜炎の状況はどうか、血管を傷つけないか、麻酔は安定してるか…」など、私たちには目の前のことしか見えなくなります。
職場体験のことは、頭からすっぽり抜けていました。
診察にまわったスタッフが、病気や手術のことを中学生に説明してくれたそうです。
2人とも手術を最後まで見届けて、摘出した臓器にも興味を持っていました。
摘出した卵巣と子宮
麻酔の覚醒も無事に終わり、ほっとしました。
手術したワンちゃんは、後日、無事に退院していきました。
今回の職場体験をきっかけに、中学生たちが獣医療に関心を持ってくれると嬉しいです。
子宮がある場合は体調の確認を
子宮蓄膿症は、命に関わる病気です。
発情期から2ヶ月くらい、5〜6歳以降が子宮蓄膿症になりやすい危険期間と言われています。
ただ、1〜2歳でなる子もいれば、発情期から2ヶ月過ぎてなる子もいます。
避妊手術をしていない子は、以下のことを確認してください。
- 発情期からどれくらい経ったか
- 外陰部や乳腺が膨らんでいないか
- 外陰部をやたら気にしたり、オリモノ(膿状や粘液状、血様等様々)が出ていないか
下痢を併発していたケースや、茶色いオリモノを下痢と勘違いしていたケースもあります。
出血を伴う場合は、生理と思っている飼い主さまもいます。
「食欲不振でなんとなく元気がない」といったように、特徴的な症状がないケースもあります。
今回のコも、念の為にした腹部のエコー検査で、子宮蓄膿症が見つかりました。
オリモノは外陰部を軽く開くと濁った粘液状のモノが出てくる程度で、ひどい状態ではありませんでした。
年齢を重ねるごとに発情期の出血が少なくなる子が多く、いつ発情期だったか分からないこともよくあります。
当院の最高齢の子宮蓄膿症は、18歳でした。
子宮がある子はしっかりと体調の確認をして、早めの受診をしましょう。