夏の花粉症や細菌性皮膚炎がやっと落ち着いてきたなぁと思っていたところですが、秋バージョンのかゆみが増えています。
最近、紅葉が徐々に増えてきて、愛犬の散歩の時にハゼの葉が落ちていました。
真っ赤に紅葉してとても綺麗なのですが、かぶれのような皮膚炎の原因にもなるのでご注意ください。
「ノギ」に要注意
ハゼ、ブタクサ、ヨモギなどのアレルギーは、草ムラに近寄らないことが大事だそうですよ。
落ち葉がハラハラ落ちている道をサクサク歩くワンコの姿を見るのは楽しいものですが、かゆみが出る場合は避けた方が良さそうです。
散歩の後などに手足や顔まわりなどがかゆくなるコが増えています。
シュウ酸などの刺激物質がかゆみの原因になったり、物理的にチクチクした植物が原因になったりすることも多いようです。
最も怖いのは「ノギ」です。
「ノギ」とは、イネ科の植物の花の外殻にある針のような突起のことです。
釣り針の返しのような形をしているので、一定方向にしか進みません。
耳の中に入ると、頭を振ったり掻いたりしても出てこず、どんどん奥に行き、ついには鼓膜が傷つくことも。
実際に数日前、「散歩から帰って来てからずっと頭を振っている」ということで来院されたコから、耳アカまみれのタネが出てきました。
お散歩にちょうど良い気温ですが、草ムラにはあまり近寄らない方が良いでしょう。
ちょうど良い気温なのは蚊も同じようで、少し外に出ると真夏よりも刺されます。
また、秋はハウスダスト(コナダニ類)のアレルギー症状も悪化する時期だそうです。
カーペットや寝具、クッションなど、こまめな掃除と洗濯できるものはこまめに洗いましょう。
敏感肌のコは清潔&保湿ケア
もともと敏感肌のコは、お散歩の時に草ムラに入らせないことはもちろん、帰宅してから手足やおなか、顔まわりなどの部分を水洗いするだけでも違いますので、ぜひお試しください。
100均のドレッシングボトルを利用すると、部分水洗いがラクになるのでオススメです。
実は今まで、良いモノに出会わなかったので、当院では「ドライシャンプー」はオススメしていませんでしたが、
外耳炎のお耳洗いで使用する「エピオティック」を作っている会社が「アラダームウォーターレスシャンプー」を発売しました。
刺激が少ないのに汚れ落ちがとても良く、抗菌作用もあるということで、ついに当院でも採用しました!
患者さまからもご好評いただいています。
高齢のコのお尻周りや、短頭種のコのお顔のシワの間のケア、散歩後の足裏ケアなどに便利です。
また、秋の晴れの日は空気が乾燥します。
急に湿度が変わると、皮脂の分泌物が増えてベタベタする場合と、乾燥してカサカサになる場合があり、どちらもかゆみを悪化させます。
かゆみ止めのお薬にも色々な種類があり、我々獣医は症状に合わせてその都度処方しています。
お薬でかゆみを緩和するのと同時に、保湿すると症状が和らぐだめ、保湿剤の使用をオススメしています。
当院では「リゾペール」を置いています。
また、普段のシャンプーも大事!
副院長が「秋はゆらぎ肌の季節!」とよく言っています。
市販のデリケート肌用シャンプーでも乾燥する場合、
または、シャンプーして2日ほどは乾燥気味でカサカサ→1週間くらいで皮脂でベタベタしてくる場合は、保湿が不足している可能性があります。
こういった症状は、保湿重視のシャンプー+保湿剤のコンビでかなり改善できます。
当院では「アデルミルシャンプー」を置いています。
効果的な使用方法は、スタッフまでお気軽にお問い合わせください。
短頭種のコは急変に注意
特に短頭種(フレンチ・ブルドッグ、パグ、シーズー、ペキニーズなど)は鼻や気管などに問題があり、もともと呼吸しにくいコが多いので、夜中に急に顔が腫れて息苦しそうな場合は、夜間救急病院を受診することをおすすめします。
このフレンチブルちゃんは、来院した時、お顔が血まみれでした。
かゆみは数日前に起こったとのことで、受診時には落ち着いていたので、1回だけの原因不明アレルギーと仮診断しました。
掻き壊しの細菌感染を抑えるために、抗生物質で治療して、2週間後の再診をお願いしました。
その間かゆみもなく、傷も落ち着いていたそうです。
しかし、再診の日の早朝に、たまたまというか、幸運にもというか、かゆみが再発。
お顔もまた掻き壊してしまいました。
背中に膨疹(ぼうしん)があり、人間のじん麻疹のようなアレルギー症状が出ていました。
治療の主軸を、急性アレルギーを抑える注射とアレルギー用の飲み薬に切り替えました。
先日再々診に来院されましたが、かゆみはぶり返していないとのことでホッとしました。
でも、季節が変わるまで要注意かもしれません。
秋のかゆみ、原因も症状も様々です。
気になる症状が出たらお早めに受診することをおすすめします。