たかが便秘されど便秘。

ペットの高齢化とともに、習慣性の便秘を抱える子が少しずつ増えてきました。
排便時に長時間踏ん張っている場合や、何回も何回も踏ん張っている場合は要注意。

特に水を飲む量が減る冬は、便秘になりやすくなります。

冬は便秘になりやすい

習慣性の便秘は、「会陰部ヘルニア」や「巨大結腸症」の原因にもなるので、早めに治療したいものですね。
早期であれば、ラクツロースや食物繊維だけでも改善しますので、ぜひ早めにご相談ください。

「会陰部ヘルニア」は、中~高齢の去勢手術をしていないオス犬に多い症例です。
前立腺肥大により、腸管が圧迫されて重篤な便秘を引き起こすからです。

会陰部は何層もの筋肉で守られ、いきんでも内臓がお尻から飛び出さないように覆われています。
しかし、老齢または元々その筋肉が薄いなどの要因や、継続するいきみの圧力により、筋肉がペラペラに引き伸ばされたり断裂したりすると、骨盤腔から大網や腸管、場合によっては膀胱の一部が押し出されてきます。

見た目は「お尻に突然ポッコリ大きなデキモノができた」ように見えます。

実際に、肛門の斜め下や横に、突然膨らみが出来ていることに気が付いて来院されることが多いようです。
運が良ければそのまま生活していることもありますが、腸管や膀胱が腹腔内から出てきていると、血流が悪くなり壊死する危険があります。

放置すればするほど周辺の筋肉も薄く脆くなり、ヘルニア輪も大きくなり、治療が難しくなるので、早い段階で手術に踏み切る事をおすすめします。

さて、元々の原因の前立腺肥大は、男性ホルモン依存性の疾患です。
人間の経験男性曰く「あんな最悪な病気はない!」だそうです。

特効薬が無く、落ち着くまでに長期間かかることも不快感の原因のようです。

去勢を反対するのは男性の飼い主さんが多いのですが、前立腺肥大の経験者はほぼ全員が去勢に賛成される事からも、その症状の不愉快さが想像できます。

前立腺はオスの尿道周囲にある、本来は小さな組織ですが、男性ホルモンにより異常に肥大する事があります。
また、肥大した前立腺は、細菌感染により炎症が起こると症状が増悪します。

症状としては、血尿や頻尿といった膀胱炎症状、排便姿勢でいきむけれど排便しにくい等の便秘症状がよくみられます。

治療は、去勢により前立腺肥大を抑えるとともに、便を柔らかくして便通を良くし、便秘を抑えます。
細菌感染が疑われる場合には、抗生物質を処方しますが、前立腺はその構造上、薬が届きにくく、長期間の投与が必要となります。

人間もペットも、お通じは体からのお手紙!
スッキリ習慣を心掛けたいものですね。

お通じは体からのお手紙

お散歩の時には、愛犬が肩身の狭い思いをしないためにも、愛犬のウンチは持ち帰りましょう。

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