昨年の年末ごろから、なぜか外耳炎や皮膚炎、痒みの症状が増えています。
真冬は外耳炎や皮膚炎が少ない時期なのですが、今年は少し様子が違います。
乾燥に加えて、黄砂やPM2.5が多いこと、さらに下草の枯れ方が中途半端なことも影響しているのかもしれません。
いつも以上に保湿を意識し、皮膚のバリア機能を守ることが大切です。

副院長の体験談
年末に、副院長が身をもって学んだ出来事がありました。
観葉植物を食べて激しい嘔吐と皮膚炎を起こした猫さんが来院され、その植物を副院長が興味本位で腕にこすりつけてしまったのです。
(知的?)好奇心に敗北したそうです。
その日は軽い痒み程度でしたが、翌日には皮膚の薄い手首付近がただれたような皮膚炎になりました。
これは遅延型アレルギー反応です。

副院長は庭仕事が好きなのですが、花粉症があり、草負けしやすい体質でもあります。
強い痒みで掻き壊し、一度よくなったように見えても、皮膚が完全に回復するには時間がかかります。
保湿を怠ったことで、
痒みが再発 → 掻く → 皮膚炎が再発
という状態を繰り返していました。
「我慢した方が治りが早いのは分かっているけど、これは我慢できない。保湿は本当に大事だね」
というのが、掻き壊し2回目の副院長の言葉です。
掻き壊して浸出液が出るほどになると、冷やして消毒し、痒み止めの軟膏と保湿が必要になります。
皮膚の機能が回復するまでは、保湿を続けることがとても重要です。
改めて、副院長も保湿の大切さを実感したのでしょう。
毛包虫症の来院
年末のブログ「犬の毛包虫症」でもご紹介しましたが、子犬さんの典型的な毛包虫症の来院がありました。
毛包虫は、健康な状態でも少数は体にいる寄生虫です。
ニキビダニ、デモデックスとも呼ばれ、毛穴に住み、炎症の原因になることがあります。
すべての哺乳類に、それぞれの毛包虫がいるため、免疫が大きく低下していない限り、他の動物の毛包虫が感染することはありません。
この子はフィラリア予防シーズン終了後に家族になり、市販のノミ・ダニ予防薬を使用していたそうです。
最近は、多くのフィラリア予防薬や動物病院処方のノミ・ダニ予防薬で、毛包虫症も予防できます。
そのため、典型的な症状を見るのは久しぶりでした。

毛包虫症を予防できるノミ・ダニ予防薬を飲み始めると、皮膚はみるみるきれいになりました。
成長期と毛が生えやすい季節が重なったこともあり、1か月で跡形なく治癒しました。

若い子の回復力は、本当に素晴らしいですね。
外耳炎の注意
最後に、外耳炎についてです。
外耳炎は放置すると、強い痛みが出てきます。
症状としては、以下のようなものがあります。
- 耳が臭う
- 汚れが多い
- 耳を頻繁に掻く
- 頭を振る
- 触ると怒る
- 首を傾けたままになる など
頭を強く振り続けることで、耳介に血がたまり、耳血腫を起こすこともあります。
基本的には、週1回の通院で外耳道を洗浄し、薬を入れる治療を数回行います。
炎症が強い場合は、先に注射や飲み薬で痛みを落ち着かせてから、洗浄を始めることもあります。
耳の奥には、平衡感覚をつかさどる前庭や三半規管があり、
慢性外耳炎から炎症が広がると、めまいや吐き気、ふらつきが急に出ることもあります。
ご自宅での耳掃除の仕方
ご自宅でのお耳掃除に、綿棒は使わないでください。
炎症を悪化させたり、耳垢を奥に押し込んでしまうことがあります。
イヤークリーナーをカット綿にたっぷり含ませ、指が届く範囲をやさしく拭きます。
首を振って奥から汚れが出てきたら、それを拭き取るイメージです。
最初から完璧を目指さないことがポイントです。
届かない時は、次の日に持ち越しましょう。
耳のマッサージを気持ちいいと感じてくれれば、日頃の観察もしやすくなります。
嫌がる場合は、異変のサインとして受診の目安になります。
上級編として、洗浄液を直接入れて行う方法もありますが、最初から行うと、毎回追いかけっこになることが多いです。
獣医の家のペット事情
わが家では、副院長が何でもない顔で愛犬や愛猫を捕まえ、風呂場で耳洗浄をしたり、知らないうちに爪切りをしたりしています。
獣医の家のペットには、なかなか逃げ場がありません。
私は警戒されやすいため、待機要員です。
愛犬ハルは、爪切りも耳洗浄も肛門腺絞りも大嫌いです。
嫌なことをされた後は、他の家族に文句を言うように鳴き、庭へぷち家出します。
今は寒いので、10分ほどの家出ですが。
「おかしいな」と感じたら、早めに受診してください。
小さな違和感が、病気のサインであることも少なくありません。
