呼吸がおかしい

「朝夕は少し暑さが和らいだかな?」と感じますが、まだまだ昼間は暑いですね。

前回のブログ「熱中症警報」でも書きましたが、ペットたちは汗をかく機能がとても少ない生き物です。
そのため、暑いと舌を出してハアハアと呼吸して、身体の熱を逃がしているのです。

お部屋が暑い昼間は、エアコンを調整したり、窓に日除けを付けるなど、工夫してくださいね。

普段の呼吸を観察しておく

多くの子は、動物病院にいる時は緊張や興奮で、呼吸が荒くて速くなっています。
時々「ご自宅でもこの呼吸ですか?」と心配になることもあります。

呼吸数や呼吸の仕方は、自宅でくつろいでいる時や眠っている時に観察するのが一番良い方法です。

安静時正常呼吸数(目安として参考値)

  • 10〜30回/分程度
    (小型犬15〜40回/分程度)

  • 20〜30回/分程度

おかしいと思ったら動画を撮影

以下に挙げるのは、呼吸に関する危険サインです。

危険なサイン
  • 肩や胸、腹がやけに動くような「がんばって息をしてる」状態(努力性呼吸)
  • 暑くなく、安静時なのに、口を開けて呼吸している(開口呼吸)
    特に猫は要注意
  • 横になって眠れないので、伏せでウトウトしている
  • 咳が出る
  • 少し動くと疲れて舌が青くなる

3〜5つ目は「呼吸とは関係ない」と思うかもしれませんが、これらも危険サインなのです。
複数の危険サインが同時に起こることもあります。

これらの症状は、気管や肺の問題だけでなく、心臓に問題があることもあります。

「おかしいかも??」と思ったら、スマートフォンで動画を撮影してから来院していただけると、診察の一助になります。

呼吸がおかしい

「観察」と「念の為」が繋いだ命

今年8月に「呼吸がおかしい気がするので念の為に診察してほしい」と来院した子に、重度の心不全が見つかりました。

待合室に確認しに行ったら、努力性呼吸をしていました。
飼い主さまに緊急性を伝え、慌てて検査をしました。

酸素を吸ってもらいながらエコー検査とレントゲン検査をしましたが、心臓の動きがかなり悪く、胸水も溜まっていました。

心臓はピクピク動いている程度で、生きているのが不思議なレベル。
心不全が起こると肺や胸腔、腹腔に体液が溜まることがあります。
この子の場合は、胸腔に体液が溜まる「胸水」でした。
胸水が溜まると肺が膨らみにくいので、呼吸が苦しくなります。

溜まった胸水は、胸に注射針を刺して抜きます。
そのため、動くと危険ですが、鎮静をかけるのも押さえつけるのも危ない状態でした。

幸いおとなしい子でしたので、無事に胸水を抜くことができました。
薬も使用すると、心臓の動きが少し良くなり、小康状態になりました。
第一の難関を超えてくれたので、少し安心しました。
しかし、心臓の状態は悪いので、油断はできません。

飼い主さまに詳しく状況をお話しし、ご自宅でお薬を飲んでもらいながら療養してもらうことにしました。
お薬の調整をしつつ、もうすぐ2ヶ月が経過します。

まさしく飼い主さまの「観察」と「念の為」が繋いだ命です。
そして、飼い主さまがお薬をしっかり飲ませられているからこそ繋がっている命です。

Instagramに再診時の心臓エコーの動画を投稿しました。

日頃の観察や実践が大事

ペットの不調が見つかるかどうかは、飼い主さまにかかっています。
動物病院に来院すると、緊張で咳も止まるし、足も痛くなくなってしまうのです。

「何か変かも?」と思ったら、その様子を動画で撮影してください。
診察の助けになります。

今年の動物愛護週間は9月26日で終わりましたが、ペットたちへの愛の「カタチ」は常に考えましょう。
「愛護」は「愛してまも」です。
おやつをあげることだけが、かわいがるということではありません。

  • 健康状態の観察
  • 嫌がる所を触る練習
  • ワクチン等の予防
  • パニック時の対処
  • いざという時の備え
    (ペットが入れない避難所がほとんどですし、フードや水等の支援物資もなかなか届きません。ローリングストックが大事です)

ペットを「愛してまも」ために、日頃から実践しておきましょう。