「膀胱炎」「尿石症」急増注意報!

急に涼しくなってきたせいか、「膀胱炎」や「尿石症」が増えています。

涼しくなると、水を飲む量が減り、尿は少なく濃くなります。
このため、膀胱内に細菌が入り込みやすくなり、膀胱炎や膀胱結石になりやすくなります。

膀胱結石は、様々な膀胱炎によって尿がアルカリ化すると、さらにストラバイト結石が出来やすくなることも解っています。

「膀胱炎」は女の子の方が男の子よりも3倍かかりやすいと言われています。
これは膀胱から外部までの道(尿道)が短くて広いことが原因です。
反対に男の子は、尿道が細くて長いので、膀胱炎にはかかりにくいと言われています。

ところが、「結石」に関して言えば、断然男の子の方が大変です!
細くて長い尿道に、小さな結石がスッポリ詰まる・・・。
一度でも尿結石を経験した男性なら、想像するだけでゾッとする痛みでしょう。

実はつい先日、犬の男の子で尿道が塞がり、手術になった子がいます。

数日前の診察で結石が確認され、治療中だったのですが、オシッコが少量しか出ていない事に気付いた為に再来院されました。
レントゲン検査とエコー検査で、数日前には無かった結石が出現し、小さかった結石も大きく成長していました。

膀胱結石

運悪くハマった結石により、オシッコがポタポタとしか出せない状態のため、とにかく尿道の詰まりを解除するための処置をすぐに開始しました。

尿道にカテーテルを挿入し、生理食塩水で圧力をかけて結石を膀胱内に押し戻そうとしましたが、これまたシッカリ詰まっていて、全然動かない!!

排尿できない状態で放置すると、腎臓にも悪影響な上、オシッコにより排出されるべきものが排出できないので、命に関わる事態です。

その日の夜に緊急手術となりました。

膀胱結石

閉塞部分の尿道を切開し、結石を取り除いてから、尿道カテーテルを設置。
次に腹部切開し、膀胱内の結石を取り除いていきました。
気が付けば4時間の大手術!

幸い、飼い主さんが素早く気づいて来院されたので、膀胱内も尿道もひどく損傷しておらず、順調に回復してくれてます。

オシッコを何回もしようとしているが、ポタポタとしか出ていない場合には、以下の2つのパターンが考えられます。

①オシッコはちゃんと出ていて、膀胱内にはほとんど尿は残っていないのに、残尿感から何回も排尿しようとしている場合。

②膀胱内にはオシッコが溜まっていて、出したいのに結石によって尿道が塞がれている場合。

②の方が格段に危険性が高い状態です。

不思議な事に、犬は膀胱結石が大きく成長することが多く、猫ではサラサラの砂状の結石が溜まっていることが多いのですが、やはりどちらも男の子が詰まりやすいのは変わりません。

膀胱炎・膀胱結石を疑う、主な症状を下にまとめていますので、参考にしてください。

●尿が少ない、出てない。
●何回も何回もトイレに行く。
●トイレでじっとしていたり、奇声を発する。
●トイレと違う場所でしようとする。
●色がおかしい、血が混じる。
●尿が異常に臭う。

気になる症状がある場合には、お早めにご来院ください!